融資で失敗しないために必要なのは、「いくら借りられるか」を気にすることではありません。
大切なのは、借入金を計画的に返済できるかどうかを数字で示せることです。
銀行は、融資審査をするうえで「この会社は本当に返済を続けられるのか」を見ています。
そのときに欠かせないのが借入シミュレーションと資金繰り表。
返済計画を机上の数字で終わらせず、実際の資金の流れに落とし込んで説明できる経営者こそ、銀行から信頼され、安心して融資を引き出せるのです。
銀行が見ているのは返済能力
銀行は「返済能力」を重視します。
具体的には、以下のようなポイントを冷静にチェックしています。
- 簡易キャッシュフロー>年間借入返済額
- 債務償還年数
- インタレスト・カバレッジ・レシオ
簡易キャッシュフロー>年間借入返済額
簡易キャッシュフローとは、税引後利益+減価償却費で求められます。
この簡易キャッシュフローがプラスであることが前提となります。
そのうえで、簡易キャッシュフローが年間借入返済額を上回っていることを確認します。
簡易キャッシュフロー<年間借入返済額となってしまうと、返済力が弱いと判断されてしまいます。
債務償還年数
借入金÷簡易キャッシュフローで計算される債務償還年数。
現在の利益水準で借入金を返し切るまでに何年かかるかを示す指標です。
短いほど返済能力が高いと評価されます。
10年未満であることが目安となります。
インタレスト・カバレッジ・レシオ
(営業利益+受取利息+受取配当金)÷支払利息で計算されます。
金利負担に対する利益の余裕度を示す指標です。
3倍以上あると安心ラインとされます。
銀行は、「融資をしたおカネを確実に返済できる会社に融資をしたい」と考えます。
そのため、事前に自社の返済能力を把握することが重要となるのです。
銀行はおカネの流れ(資金繰り)を確認している
決算書が黒字でも、資金がショートすれば返済はできません。
銀行は、売上や利益だけでなく「おカネの流れ」に注目しているのです。
- 売上入金のタイミング
- 仕入や人件費の支払いタイミング
- 税金や賞与など資金が大きく出ていく月
例えば、建設業や製造業では「仕入や外注費の支払いが先行 → 売上入金は数か月後」というケースがよくあります。
借入シミュレーション上は返済可能に見えても、実際には「売掛金が入る前に資金不足になる月」が発生する可能性も出てきます。
ここで役立つのが 資金繰り表 です。
返済額を毎月の支出に組み込み、入金・支払いのタイミングを反映させることで、資金ショートが起きる可能性を事前に把握できます。
銀行に資金繰り表を示せば「リスクを理解している経営者」として信頼感も高まります。
銀行に信頼される経営者はシミュレーションを準備している
銀行に安心感を与える経営者は、希望額を口にするだけの人ではありません。
- 借入シミュレーションで複数パターン(7年・10年・据置期間ありなど)を試算している
- 返済額を資金繰り表に反映し、おカネに無理がないか確認している
- 面談で「この条件なら資金繰りに余裕があります」と数字で説明できる
こうした準備をしている経営者は「計画性がある」「リスク管理ができる」と高く評価されます。
結果的に、希望条件での融資を引き出せる可能性が高まるのです。
まとめ:資金繰り表で返済を語れる経営者が信頼される
銀行が融資で最も重視するのは返済能力です。
その証拠を示すためには、借入のシミュレーションをして、 資金繰り表に数字を反映させてみましょう。
- 借入シミュレーションで返済額を具体的に試算する
- 資金繰り表でおカネの流れを見える化する
- 銀行に「返済に無理がない」と数字で語る
この姿勢を持つ経営者は、銀行から確実に信頼を得ることができます。
融資は経営を強化するチャンスでもあります。借入シミュレーションと資金繰り表を活用して、安心して返済を続けられる計画を準備しましょう。
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