なぜ銀行は資金繰り表を重視するのか?

融資を申し込むとき、「決算書や試算表はすぐに出せるけれど、資金繰り表は作っていない」という事業者は少なくありません。
ですが、銀行が融資判断の際に最も重視する書類のひとつが資金繰り表です。

決算書が「過去の成績表」だとしたら、資金繰り表は「今と未来のおカネの動きを示す地図」。
この地図がないと、銀行はあなたの事業がどこへ向かうのか、どこでお金が足りなくなるのかを予測できません。
なぜ銀行は資金繰り表をそこまで見るのか、その理由と活用法を整理してみます。

目次

返済能力を一目で把握できるから

資金繰り表には、現金預金の収支の実績と予定が一覧でまとまっています。
売上や利益だけでは見えない「現金預金がいつ入って、いつ出ていくか」、「返済や税金を払えるかどうか」がわかるため、銀行は返済能力を判断する材料にします。

例えば、利益が出ていても入金が3か月後に集中していれば、その間の返済や仕入れの支払いが滞る可能性があります。
逆に赤字でも、安定した入金や十分な現預金があれば「返済能力のある会社」と判断されることもあります。
資金繰り表は、銀行にとって「数字だけでは分からないキャッシュの呼吸」を見るための心電図のようなものです。

銀行が重要視するのは「融資をして、返済を確実にできる会社」です。
返済能力を示すための重要な資料として、正確な資金繰り表を作成することを心掛けることが大切となります。

経営管理の意識が伝わるから

資金繰り表を定期的に作っている事業者は、おカネの管理や支払い予定をきちんと把握していると銀行に伝わります。これは経営管理能力を証明することでもあり、融資担当者に「安心して融資できる会社」という印象を与えることができます。

銀行は数字そのものだけでなく、経営者の「姿勢」も見ています。
資金繰り表を作成し、支払いや入金の予定を明確に説明できる経営者は、「トラブルがあっても早めに相談してくれるだろう」と安心感を持たれるのです。

逆に「資金繰り表はありません」と言う会社は、「先行き管理が甘いかも」という印象を与えてしまう可能性があります。

未来のおカネの流れを確認できるから

決算書や試算表は会社の実績を示すための重要な資料ですが、それと同時に銀行が知りたいのは「今後の返済が滞らないか」です。
資金繰り表は将来の資金収支計画を示せるので、融資実行後の返済期間にわたって資金繰りが安定しているかを銀行は確認できます。

例えば、「設備投資後に一時的に資金が減るが、補助金入金や売上増加で回復する見込みがある」といった説明を資金繰り表で示せば、銀行も納得して融資に応じやすくなります。

資金繰り表は単なる管理表ではなく、「未来の計画を数字で伝える重要な説明資料」でもあるのです。

まとめ

資金繰り表は、銀行にとって返済能力のチェックシートであると同時に、経営者の管理姿勢や将来計画を見せるツールでもあります。

融資の申し込み時だけでなく、平時から資金繰り表を整備しておくことが、結果的に銀行からの信頼やスピーディーな資金調達につながります。
「”銀行に見せるため”ではなく”自分の事業を守るため”に作っている」と考えると、資金繰り表の重要性が一層クリアになります。

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この記事を書いた人

銀行融資支援に強い地方在住税理士

「お金の管理で自分(自社)を守る」
経理・税務だけでなく銀行融資支援や経理業務の効率化に強い税理士。

一般企業で経理職に4年、税理士法人で6年勤務した後、2024年10月1日独立開業。

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