30万円未満が40万円未満に引き上げ:少額減価償却資産の特例は手段であって目的ではない

令和8年度の税制改正大綱が発表されました。
少額減価償却資産を一括で費用にできる金額が30万円未満から40万円未満に引き上げされます。
以前よりも活用しやすくなるといえるでしょう。

ですが、十分に注意したいのが、この制度はあくまで手段であって目的ではないということです。

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30万円未満が40万円未満に引き上げ

税務上、10万円以上するパソコンなどを購入すると、資産として計上し、減価償却費として少しずつ費用化する必要があります。
ただ、中小企業者で、青色申告書を提出し、常時使用する従業員の数が500人以下である場合(2026年の税制改正から常時使用する従業員数が400人を超える法人は、適用できなくなる見込み)は30万円未満のものであれば一括で費用にしてもよいという特例があります。

この30万円未満の金額が、40万円未満に引き上げされるようになりました。
(ただし、年間300万までを限度とする。)

例えば、私が仕事で活用するパソコン。
20万円のモノを購入すれば、通常であれば20万円を資産として計上し、4年間に分けて経費として計上することとなります。
それがパソコンを購入した日に一括で費用にすることができるので、非常に便利な特例といえるでしょう。

あくまで手段であって、目的ではない

非常に便利な特例ですが、注意すべき点もあります。
それは、この特例を活用することが目的にならないようにするということ。
業務上必要なものを購入する際に40万円以上だから買わない、40万円未満だから買うといった判断をしないようにしたいものです。

また、一括で費用にする目的で、不要なモノまでも購入するようになっては、手元資金が流出してしまいます。

この特例は、資産の購入が目的となっているため、必然的におカネの支出を伴います。
合計額が300万円という限度は設定されていますが、積み重なれば大きな支出となります。

仮に200万円支出をすれば、法人税等(税率30%と想定)を60万円ほど節税することができるでしょう。
ですが、60万円を節税するために200万円-60万円=140万円もの手元資金が流出することになります。

少額減価償却資産の特例を活用する際、重要なのは、その資産をどのように使うか、そしてそれがどのように事業に貢献するかを明確にすることです。
単に税金の軽減を狙って資産購入を急ぐのではなく、事業の成長や効率化に直結するような投資を行うことが求められます。

例えば、事業拡大のための設備投資やIT機器の購入がその典型例です。
これらの資産が、事業運営において直接的な効率化や生産性向上をもたらすのであれば、特例を活用して一括で費用計上し、税負担を軽減することは合理的と考えれます。

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この記事を書いた人

銀行融資支援に強い地方在住税理士

「お金の管理で自分(自社)を守る」
経理・税務だけでなく銀行融資支援や経理業務の効率化に強い税理士。

一般企業で経理職に4年、税理士法人で6年勤務した後、2024年10月1日独立開業。

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