銀行はこう見ている!【棚卸資産の場合】

正確な棚卸をしていますか?
棚卸とは商品などの在庫を保有状況を確認する作業です。

手間がかかるので「面倒だな」と感じる方も多いと思います。
在庫が多い場合の棚卸は更に大変です。
(私も経験があります。夜な夜な在庫を数えていました…。)

ですが、棚卸資産は数量などを誤魔化しやすいところでもあるため、粉飾されやすいという認識もされているのです。
そのため、銀行は適正な在庫かどうかをしっかりと確認しています。

利益調整をしているのであれば企業の実態を把握する必要があるからです。

今回は「銀行はこう見ている!【棚卸資産の場合】」というお話です。

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目次

棚卸の役割

棚卸は在庫を把握するための作業です。
これをおこなうことにより、

  • 実在庫と帳簿との差異の確認
  • 不良在庫の確認
  • 売上原価と棚卸資産の確定

をおこなっていきます。

実在庫と帳簿との差異や不良在庫の確認はもちろん重要ですが、
会計上重要になってくるのが「売上原価と棚卸資産の確定」です。

「売上原価」は、損益計算書の記載される項目で、
「期首棚卸高」+「仕入高」-「期末棚卸高」で算出されます。
また、売上高から売上原価を引くことによって売上総利益、いわゆる「粗利」が算出されることになります。

棚卸は、この中の「期末棚卸高」の数字を確定させていく作業になります。
そのため、しっかりと棚卸をしなければ正確な「粗利」を算出することができません。

「期末棚卸高」と同時に確定するのが貸借対照表の項目となる「棚卸資産」。
「棚卸資産」の項目は様々で、

  • 商品
  • 貯蔵品
  • 原材料
  • 仕掛品
  • 製品

といったものがあります。

この「棚卸資産」の項目も重要で、銀行融資を受ける際にも大切になってきます。
銀行融資を受けるときに重要となる項目として「資金使途」があります。

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資金使途は大きく分けて「運転資金」と「設備資金」があり、
運転資金は「売上債権」+「棚卸資産」-「仕入債務」で算出されます。

そのため、棚卸資産がいい加減な数字になっていると、正確な運転資金を把握することができないのです。
正確な運転資金の額が分からないければ、運転資金の融資を受ける際に大きな影響を与えてしまいます。

棚卸資産の調整による利益操作は粉飾決算の代表例

上述したように棚卸は重要な役割を担っているのです。
ただ、この棚卸資産は利益操作、つまり粉飾決算に使われやすい箇所でもあります。

棚卸の数量など増やすことで「期末棚卸高」の数字が大きくなります。
ゆえに、粗利が大きくなり利益が出ているように見せかけるのです。
粉飾決算は違法行為であり、発覚すれば融資を受けられなくなる他に様々なデメリットが生じます。

そのため、銀行も「棚卸資産」を注意して確認しています。
分かりやすいのが「棚卸資産回転期間」で確認する方法です。

「棚卸資産回転期間」は「棚卸資産」÷「平均月商」で算出されます。
これを業種別の平均と比べて多いのか少ないのかを検討します。

在庫が多ければ、不良在庫や粉飾決算を疑うのです。

ここで重要になってくるのが、銀行にしっかりとした説明をすることです。
「決算前に多くの仕入をしたため、棚卸資産が増加した。」
「商品が一時的に売れ行きが落ちて決算時は在庫が増加したが、決算後は回復して在庫も正常に戻っている。」など。

また、必要であれば棚卸表などの資料を添付したり、実際の在庫を確認してもらうことをおススメします。
何も説明しなければ、銀行は状況を把握することができず、在庫の減額修正をすることも考えられます。

冒頭でも説明しましたが、やはりここで重要になってくるのが正確な棚卸なのです。
管理がずさんな会社を銀行が信頼してくれることはありません。

多くの手間を要する棚卸ですが、マニュアルを作成したり、
日頃から在庫管理を徹底することで効率化をすることができます。

「銀行からどう見られるか?」だけでなく、会社の管理体制の強化に繋がってくるのです。

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まとめ

今回は「銀行はこう見ている!【棚卸資産の場合】」というお話でした。
棚卸は手間を要するため「面倒」と感じる方が多いでしょう。

ですが、銀行融資を受けるための重要な作業でもあります。

棚卸の項目は、利益操作をしやすい場所であるがゆえに、銀行も注意深く確認しています。
そのため正確な棚卸が必要となってくるのです。

また、会社の管理体制の強化や正確な運転資金の把握にも必要なことです。

棚卸の効率化をするためにも、マニュアルの作成や日頃からの在庫管理の徹底を心掛けましょう。

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