銀行から融資を受けたいと考えたとき、よく耳にするのが「資金繰り表を用意してください」という言葉です。初めて融資を検討する経営者にとっては、「なぜそんなものが必要なのか?」、「そもそも作らないと借りられないのか?」、と疑問を持たれる方も少なくありません。
結論からいえば、資金繰り表は、必ずしも提出が必須な資料ではありません。
しかし、資金繰り表を準備しておくことで、融資審査での印象や会社の経営に大きなプラス効果をもたらすことが多いのです。
資金繰り表は「必ず必要」というわけではない
実際には、融資の種類や金額によって資金繰り表の必要性は変わります。
短期の少額融資であれば、決算書や試算表を中心に審査される場合が多いでしょう。
しかし、地方銀行や信用金庫など民間金融機関から数千万円規模の融資を受けようとすると、返済可能性を確認するために資金繰り表を求められるケースが増えてきます。
銀行員にとって「返済原資がどこから生まれるのか」を説明できる資料が資金繰り表であり、審査に説得力を持たせるための武器になるのです。
資金繰り表があると銀行の評価が変わる
銀行が最も重視するのは「貸したお金が計画通りに返ってくるかどうか」です。
資金繰り表があれば、単なる数字の羅列ではなく「返済原資をどのように確保するのか」が可視化されます。
例えば、売上の入金が月末で、仕入れや人件費の支払いが月中に集中する業種の場合、資金繰り表がなければ「資金ショートのリスクがある」と見られかねません。
しかし、資金繰り表で前もって運転資金をどう確保するか示せれば、銀行側も安心して融資を検討できます。
つまり資金繰り表は、単なる帳票ではなく「この会社は数字を管理できる」「資金ショートを回避する計画を立てている」という経営姿勢そのものを伝える手段になるのです。
そのためにも、銀行から資金繰り表の提出を求めれる前に、こちらから事前に提出することが大切です。
事前に提出することで「資金管理をしている」という印象を与えるのはもちろんですが、融資審査のスピードを上げることにも繋がります。
資金繰り表は会社経営の武器になる
資金繰り表は銀行のためだけにつくるものではありません。
むしろ経営者自身にとっての「経営の羅針盤」といえます。
例えば、半年後に大きな設備投資を計画している場合、資金繰り表をつくれば「そのタイミングで手元資金が足りるのか」「追加の融資が必要なのか」を事前に把握できます。
また、赤字が続く見込みが出れば、コスト削減や資金調達の準備を早めに進める判断材料にもなります。
資金繰り表を持っている会社と、持っていない会社では、経営の安定性に大きな差が生まれます。
銀行からの信頼を得るためだけでなく、自社の経営リスクを減らすためにも、日頃から資金繰り表を作成して更新する習慣をつけておくことが、結果的に会社の未来を守ることにつながるのです。
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