借入金の残高は、決算書における重要な指標の一つであり、銀行の融資審査にも大きな影響を与えます。
特に「現預金」と「借入金」のバランスを見極めることは、融資の審査を有利に進めるために重要なポイントです。
今回は、銀行が借入金の残高をどう評価するのか、そして融資を受ける際に有利に働くための重要な数値について詳しく解説します。
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債務償還年数と借入余力
債務償還年数は、借入金を返済するためにどれくらいの期間が必要かを示す重要な指標です。
簡易キャッシュフロー(当期純利益+減価償却費)を元に算出され、借入金の残高と比較することで、会社の返済能力を確認できます。

債務償還年数は借入金÷簡易キャッシュフロー(当期純利益+減価償却費)で算出されます。
融資を検討する際には、債務償還年数が10年以内であることが重要なのです。
逆にいえば、簡易キャッシュフローの10倍から現在の借入金の残高を引いた金額が借入余力の金額と把握することができます。
この数字は非常に重要なので覚えておくようにしましょう。
簡易キャッシュフローの数字が大きければ、利益償還をする力が高い企業と考えらます。
この数字が大きくなれば債務償還年数も少ない年数になるので、おのずと借入余力も大きくとなるわけです。
ここで注意なのが、この数値には運転資金は含まれません。
運転資金は仕入から売上金の入金までのタイムラグを埋めるためのものです。
そのため利益から返済されるものではないということになります。
ここまでを踏まえると、簡易キャッシュフロー×10-(借入金-運転資金)となります。
借入金月商倍率を確認する
次に確認したいのが借入金月商倍率。
借入金月商倍率は、借入金÷平均月商で算出することができます。
年商を12で割った数字が平均月商です。
月商に比べて借入金が何か月分あるのかを確認するのです。
一般的に、借入金月商倍率が数字が低い方が安全であると考えられます。
特に、月商の6倍を超える場合は、資金繰りが圧迫されている可能性が高いため、注意が必要です。
借入金が多いと融資の審査に絶対通らない訳ではありません。
なぜ借入金が多くなったのか原因を探ることが必要です。
原因が、手元資金を増やすために多めに借りているのであれば、前向きな理由と考えれます。
ですが、赤字補填の借入金で残高が膨らんでいるのであれば躊躇されるでしょう。
このように理由によって見え方がまったく変わってくるので、原因を銀行に説明することも大切になってきます。
現預金と借入金のバランス
現預金と借入金のバランスは、銀行融資において非常に重要な要素です。
銀行は会社がどれだけの現預金を保有しているかを重視し、その現預金で借入金の返済が可能かどうかを評価します。
ここで重要なのは、「実質無借金経営」という考え方です。
実質無借金経営とは、会社が借入金を抱えながらも、その借入金を運転資金や設備投資などの目的に合わせて計画的に利用し、現預金で十分にカバーできる状態を指します。
言い換えれば、借入金残高はあっても、現預金がそれを上回り、実質的には「借入金に依存しない」経営をしているということです。
この状態では、会社の財務状況が非常に健全であると見なされ、銀行は融資の審査において前向きに検討しやすくなります。
実質無借金経営を目指すためには、会社の運転資金や設備投資を計画的に管理し、現預金を十分に保つことが重要です。
現預金の適切な管理により、銀行にとっても非常に信頼性の高い顧客となるのです。
まとめ
今回は、「銀行は借入金の残高をどう見ている?」というお話でした。
上記のポイントを確認することをおすすめします。
また、現預金と借入金のバランスもしっかりと確認しましょう。
各銀行の預金残高と借入金残高を比べることも重要なポイントです。
会社が銀行に預けているお金の方が多い(実質無借金)場合があるからなのです。
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