手元資金が十分にあれば、会社は突発的な支出や資金不足に対して備えることができ、経営者は経営に集中できる環境が整います。
ですが、手元資金が不足している場合、会社は短期的な資金繰りに困り、経営者がそれに対処することに多くの時間を取られてしまいます。
結果として、経営の質が低下し、経営状態が悪化する負のスパイラルに陥りがちです。
そのため、会社は手元資金を減らさないことが最も重要な意識の一つになります。
手元資金を十分に確保し、常に一定の額を維持することで、経営の安定性を保つことができます。
税金を毛嫌いすることが危険すぎる理由
税金は会社経営において避けて通れないものです。
利益が出ると、税金の支払いが発生するのは当然のことですが、過度に節税を追求することは非常に危険です。
経営者が利益=税金という式に偏り、節税ばかりを意識してしまうことがあります。
ですが、過剰に節税を行うことで、結果的に手元資金が急激に減少してしまうケースは珍しくありません。
無理な節税のリスク
例えば、100万円を経費計上しても、法人税などの節税効果は約30%程度であるため、実質的には70万円が手元資金から消えることになります。
節税によって一時的に税負担を減らしたとしても、手元資金が減ってしまっては、短期的には税金が軽くなったとしても長期的な経営に悪影響を及ぼすことになります。
納税資金の融資を活用
もし納税資金に不安がある場合、納税資金を融資でカバーする方法もあります。
銀行は、利益が出ていることが前提の融資として、納税資金を融資で対応することに前向きです。
この方法を使うことで、手元資金を一気に減らすリスクを回避し、無理なく税金を支払いながら会社の運営を継続することができます。
手元資金を減らさないために
手元資金を減らさず、安定的に維持するためには、日々の資金繰りと融資管理が重要です。
資金繰り表の作成
まず最も基本的な方法は、資金繰り表を作成し、資金の流れを把握することです。
資金繰り表を作ることで、現状の手元資金がいくらあり、今後どれくらいの収入と支出が予想されるのかが一目でわかります。
このように、資金繰りを可視化することによって、どこに無駄な支出があるかや、手元資金が減少しすぎないよう調整することが可能となります。
また、資金繰り表は、漠然としたおカネに対する不安を和らげる効果もあります。
経営者としての精神的な余裕を持ちつつ、的確な判断をするためにも役立つツールです。
融資メンテナンス
融資の管理は、会社の安定した運営には欠かせません。
銀行などの金融機関から融資を受けている場合、その融資の状況を定期的に見直し、適切なタイミングで追加融資を受ける準備をしておくことが重要です。
資金繰りが厳しくなる前に余裕を持って融資を確保しておくことで、急な支払いが必要なときにもすぐに対応できる体制を整えることができます。
特に、経営が安定している間に融資を受けておくことで、将来の不安に備え、必要な時に融資を活用することが可能になります。
融資メンテナンスを怠ると、いざという時に必要な資金を手に入れられず、手元資金が枯渇するリスクが高まります。
手元資金の目安を意識する
手元資金を減らさないためには、どれくらいの額を維持すべきかの目安を持つことが非常に重要です。
一般的に、手元資金として必要な額は、月商の3ヶ月分を目安にすることが推奨されています。
この額は、突発的な支出や収入の減少に備えるための最低限の額です。
月商の6ヶ月分を目指す
目標としては、手元資金として「月商の6ヶ月分」を確保することをおすすめします。
6ヶ月分の手元資金を確保しておけば、売上が一時的に減少しても、支払いに困ることはなくなります。
また、経済環境の変動や突発的な事態に対しても、余裕を持って対応できます。
少しずつ貯めていく
目標として6ヶ月分の手元資金を確保することが難しい場合でも、まずは3ヶ月分を目指して少しずつ貯めていくことが重要です。
このような資金の余裕が、会社の安定性を大きく高め、経営者としての精神的な余裕をもたらします。

 
			