補助金を受ける際の事業計画書で押さえるべき3つのポイント

補助金の申請で最も重要なのが、「事業計画書」です。
どれだけ良いアイデアがあっても、この事業計画書の内容が伝わらなければ採択にはつながりません。
審査員が最も時間をかけて読むのは、この「事業計画書」の部分です。

ですが、実際には「何を書けば伝わるのか分からない」「数字を入れただけで終わってしまう」といった声も多く聞かれます。
補助金の採択・不採択を分けるのは、文章力はもちろんですが、「構成の一貫性」と「審査視点の理解」が重要です。

今回は、補助金を受ける際の事業計画書を作成するうえで必ず押さえておきたい、
3つの重要ポイントを解説します。

目次

ストーリーに一貫性を持たせる

まず最も大切なのは、「なぜこの事業を行うのか」が流れとして伝わることです。
補助金の審査は、「筋の通り方」が重要となってきます。
どんなに魅力的な計画でも、過去・現在・未来の関係が不明確だと評価されません。

事業計画書では、以下の3つを一貫したストーリーとして整理しましょう。

  • 過去:これまでどんな事業をしてきたか、どんな強みがあるか。
  • 現在:今どんな問題に直面しているのか。
  • 未来:補助金を使って、どんな改善・発展を目指すのか。

この3つの流れが自然につながっていれば、審査員は「この会社の成長ストーリーが見える」と感じます。
逆に、「やりたいこと」と「課題」がバラバラだと、「補助金を使う理由」が伝わりません。

補助金の事業計画書は、単なる書類ではなく、自社の過去と未来をつなぐ経営ストーリー
一貫した構成で書くことが、信頼と説得力を生む最初のポイントです。

審査項目を押さえる

次に重要なのが、審査基準を理解したうえで書くことです。
補助金の審査は感覚ではなく、明確な採点基準に沿って行われます。
どれだけ熱意があっても、審査項目に対応していなければ点数は伸びません。

たとえば「小規模事業者持続化補助金」では、主に次のような観点で評価されます。

  1. 経営状況分析の妥当性(自社の強みや弱みなどの把握)
  2. 経営方針・目標と今後のプランの適切性(自社の強みや弱みを踏まえているかなど)
  3. 補助事業計画の有効性(事業計画が実現可能性が高いものかどうかなど)
  4. 積算の透明・適切性(事業費の計上・積算が正確・明確であるかなど)

この4項目に「文章で答える」意識を持つことが大切です。
たとえば、

  • 経営状況分析の妥当性では、「自社の現状や課題を客観的に把握し、数字や実績をもとに説明する」
  • 経営方針・目標と今後のプランの適切性では、「現状を踏まえたうえで、どのような方向へ進むのか、目標と行動計画を明確に示す」
  • 補助事業計画の有効性では、「補助金を活用した取組が、課題解決や事業成長にどう結びつくかを具体的に説明する」
  • 積算の透明・適切性では、「経費の根拠や見積内容を明示し、金額の妥当性と説明責任を果たす」

審査員がチェックリストで評価しやすいよう、構成を整えるだけで伝わり方が変わります。

さらに、審査項目と同じくらい大切なのが「加点項目」を意識することです。
多くの補助金では、特定の取組をしている事業者に「加点」が与えられます。
この加点を取れるかどうかで、採択率に大きな影響を与えることとなるのです。

業績が向上する計画が前提

最後に押さえておきたいのが、補助事業によって業績が向上する見込みがあるかという点です。
補助金は「経営の改善・発展を後押しする制度」であり、
「現状維持」や「赤字補填」のための支援ではありません。

つまり、事業計画書には「成長のストーリー」が必要です。

次のような視点で数字と内容を整えると、計画に説得力が出ます。

  • 導入する機械・設備によって、どのように売上・粗利が上がるか
  • 販路開拓によって、どのように新規顧客やリピート受注が増えるか
  • 投資した費用に対して、どの程度の効果(売上・利益・効率化)が見込めるか

単なる願望ではなく、「この取組によって会社がどう変わるのか」を具体的に描くことが大切です。

審査員が見たいのは、「補助金をきっかけに、自立的に成長できるかどうか」。
短期的な成果よりも、中長期で業績が向上する仕組みを描くことがポイントです。

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この記事を書いた人

銀行融資支援に強い地方在住税理士

「お金の管理で自分(自社)を守る」
経理・税務だけでなく銀行融資支援や経理業務の効率化に強い税理士。

一般企業で経理職に4年、税理士法人で6年勤務した後、2024年10月1日独立開業。

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