結論
来ます。
税務調査は法人だけのものと思われがちですが、個人事業主も対象です。ただ、税務署の人が実際に来る調査より、書面や電話で「ここを確認させてください」と連絡が来ることのほうが、ずっと多いです。
来るかどうかを心配するより、来ても説明できる状態をふだんからつくっておくことが大切です。
くわしく
国税庁の公表資料(令和6事務年度)をもとに計算すると、税務署の職員が実際に来る調査は、個人事業者で100件に1〜2件ほどの割合です。消費税の実地調査の件数2万8千件を、個人事業者の消費税の申告件数で割った目安です。
数字だけ見ると少なく感じるかもしれません。一方で、書面や電話で修正をうながす「簡易な接触」は、所得税だけで年に68万9千件あり、前の年の55万8千件から大きく増えています。
国税庁は、調査先を選ぶのにすでにAIを使っていて、令和6事務年度の調査による追徴税額の総額は過去最高になったと公表しています。さらに2026年9月には、国税庁のシステムが新しくなり(KSK2)、税目ごとに分かれていたデータを横断して照らし合わせやすくなりました。これから調査の精度はさらに上がると見られていて、「うちは小さいから大丈夫」とは言いにくくなっています。
税理士の視点から
税務調査の対策というと、調査が来てから慌てて資料をそろえるイメージがあるかもしれません。でも本当に大事なのは、普段の経理です。
領収書や通帳の記録が整っていて、「この支払いは何のためか」をすぐに説明できること。これは税務署に対してだけでなく、銀行に決算書を説明するときにもまったく同じことが求められます。融資の相談で「この経費は何ですか」「この借入は何に使いましたか」と聞かれて、すぐに答えられる事業者は、銀行からの信頼も厚くなります。
つまり、調査に備えて特別なことをするより、普段から数字を説明できる状態をつくっておくことが、税務署にも銀行にも通じる一番の備えです。経理は過去を記録するだけでなく、自分の事業を説明するためのものでもあります。
調査が来るかどうかを考えることよりも、来ても慌てずに済む状態を、ふだんからつくっておきましょう。
参考資料
- 令和6事務年度における所得税及び消費税調査等の状況(国税庁、令和7年12月)
